未完の美学!ウォルフ氏によって「9フィート・一体型」デザインの過程で製作されたプロトモデル!
本品は1957年にJBL社から発売された名機、レンジャーシリーズのひとつ、
D44000 Paragon パラゴン の非売品の非常に珍しいプロト・タイプ・モデルです。
パラゴンはJBL史上、もっとも長く生産され続けた同社の最高傑作。
最高のスピーカーであるとともに、その気品さが音に
最高の付加価値をつける最高の芸術作品でもありました。
アメリカの数ある権威あるオークション等でごく希に取引きされることもあるようです(写真参照)。
■ プロト・タイプ 概要 ■
JBLの設計士であったリチャード・レンジャー氏を筆頭に1950年中期からパラゴン・プロジェクトがスタート。
彼らが目指したものは反射パネルを用いたシアター用システム設計を家庭用のスピーカーに応用する、というものでした。
レンジャー氏、同社のレイ・ペペ氏が設計した初期段階のプロトタイプは分解不可能なデザインであり、
反射板も半円設計、ホーン周辺もバックロードホーンではない、と音響的にも十分と言えるものではなく、
二人は試行錯誤の甲斐もなくプロジェクトは難航していました。
1957年、行き詰っていたレンジャー氏は当時JBLの小型エンクロージャーの設計に携わっていた
アーノルド・ウォルフ氏の手腕を聞きつけ、同氏に打開案を求めます。
この後、パラゴンは飛躍的な進歩をみせることとなります。
9フィート以上もある1個型のプロトタイプは、
市場における流通を考慮しサイズダウンされた設計が採用され、
さらに1個型での輸送費削減のため、ウォルフ氏が「分解型」を提案。
パラゴン制作は順調に進むかのように思えました。
アルテックやウェスタンが衰退する劇場オーディオ界のなかで
革新的な製品をコンシューマー相手に発表する同社の快進撃には
世間やマスコミも注目し始めたのもこのころ。
しかし世間のそれとは裏腹に、この頃同社は厳しい資金難に陥り、
ウィリアム・トーマス氏は頭を抱えていたといいます。
パラゴン制作においてネックとなったのがやはり莫大な製作費用。
カシタス通りの安物件に本社を移転し、資金巡りのため同氏は
日々銀行やスポンサーを駆けずり回りました。
まさにパラゴンプロジェクトは同社起死回生の最終手段、
背水の陣だったと言えるでしょう。
そんな渦中、製作陣に与えられた製作費は微々たるものでした。
そこでウォルフ氏は靴箱スケールほどの縮小モデルでの制作をし、
分解型の最終形態をぺぺ氏とレンジャー氏に見せたところ、
二人はその完成度に驚きを隠せなかったと言います。
自信をもって製作陣は本社にプロトタイプの制作を提案。
このころトーマス氏の活躍で本社も徐々に資金援助の目処が立っており、
正式にパラゴンプロジェクトが再開。正規品発売に向けて
プロトタイプが数量生産されたとそうです。
本品はそんな製作の過程から生まれた希少なプロトタイプの一つ。
本試作品のデザインから考察して、
「分解型」と以前の「9フィート一個型」デザインの過程で
製作されたプロトモデルでしょう。
恐らく現存しているプロトタイプは世界でも数台あるかないかではないでしょうか。
正規品から逸脱したこの「未完の美学」を目の当たりにするとその歴史を感じずにはいられません。
本品はそんな製作の過程から生まれた希少なプロトタイプの一つ。
本試作品のデザインから考察して、
「分解型」と以前の「9フィート一個型」デザインの過程で製作されたプロトモデルでしょう。
恐らく現存しているプロトタイプは世界でも数台あるかないかではないでしょうか。
正規品から逸脱したこの「未完の美学」を目の当たりにするとその歴史を感じずにはいられません。
_____________________________
■ プロト・タイプ 特徴/音質 ■
◆ 脚 ◆
まず特徴的な「湾曲脚」が未完ということが挙げられます。
既述致しました通り、あの湾曲脚のデザインは最も最後に設計された部分の一つであり、
商品化に置いての最終的な美的要素として足されたものでした。
しかしながらデザイン性を追及しすぎたため耐久性に乏しく、
幾度の試行錯誤を経て最終形態になったと言えます。
本プロト型はその試行錯誤に入るまえのウーファーエンクロージャーとの一体型仕様です。
◆ 15インチユニットの位置 ◆
正規品はパーチクル板、および米松合板の併用で製作されています。
本品は全面米松合板とベークライト仕様。
さらに注目すべきは15インチユニットの位置。
正規品ではバックロード型となり、15インチユニットは
背面のエンクロージャーに収まっていました。
本試作品では前面の反射板横にエンクロージャーを設けている仕様です。
商品化の際には全てが統一されていますが、
プロトでは良い意味で資材の統一感がなく、
「とりあえず造ってみよう!」という製作陣の息を感じれる仕様です。
見かけのみならず、音響面でもバックロード型とは違った素晴らしい効果を生み出しています。
本体の余計な共振は一切感じず、130の音圧を余すことなく開口穴から
放出するため、低音の出音は締まった粒立ちのはっきりした音です。
これまで弊社ではいくつかのパラゴンを取り扱ってまいりましたが、
その正規品群(1000台のみ生産)ですら、「大量生産」と感じさせてしまいます。
それほど本プロト・パラゴンの存在感、重量感、音量感は素晴らしいです。
◆ 075は「外付け仕様」だった事実 ◆
さらに特徴的なのは高域用の075開口穴がドライバー上部ではなく、
15インチ・エンクロージャーの上、もしくは天板に乗せる「外付け仕様」だったということが挙げられます。
恐らく脚のデザインや最終的な音域バランスなどを考慮した結果上部に移動されたものと思われますが、
エンクロージャー外の配置での高域減衰をうまく回避できていると思います。
◆ レフレクター板 ◆
正規品のレフ板とは違い、本試作品のレフ板は本体と「一体型」仕様となっています。
主だった特徴は以上ですが、細部にわたり正規品のそれとはまったく異なった仕様となっていますので、
その全てを比較するのもこの品の楽しみの一つと言えます。
是非正規品と比べられるような機会を設けて頂き、歴史を感じて頂きたいです。
_____________________________
[ユニット仕様]
ユニット構成は、D130 16Ω + 075 16Ω + N2600です。
【 JBL D130 16Ω】
JBL初期シリーズのひとつでランシング氏の
携わった製品のD130です。
現在のJBL社製品の基本設計にも用いられており、
その歴史、素晴らしさが伺えます。
38cmのコーン型ウーファーユニット。
初期発売の半田タイプ。
サイズ(口径) 38cm
シリアル番号: 212146,405169
許容入力: 60W(連続プログラム)
音圧レベル(新JIS): 103dB
インピーダンス: 16Ω
ボイスコイル径: 10.2cm
マグネットアセンブリー重量: 5.9kg
磁束密度: 12,000gauss
推奨エンクロージャー内容積: 114L~338L
奥行: 146mm
重量: 8kg
音圧、音色共に揃っております。
スピーカーコーン紙にヘタリや硬化などなく良好です。
【 JBL 075 16Ω】
ターミナルもオリジナルのファットターミナル仕様。
ワックスシールも健在で内部がオリジナルの状態である事を表しています。
外観の程度など写真からご判断いただけるようにとてもきれいであり、
製造から約50年経過していることを考えるとかなりの美品と呼べます。
シリアル番号: 12482,19030
マグネット: アルニコV
インピーダンス: 16Ω
【 JBL N2600 】
シリアル番号: 6218,6225
システム許容入力: 35W(連続プログラム時)
クロス帯域: 2600Hz
_____________________________
その気品溢れる外観は出音の魅力を十二分に演出にしてくれます。
エンクロージャー、グリル、ユニット共にこの上ない仕上がり。
年代物でありながら外観はもちろんのことエンクロージャー内部も
この上ないとても良い状態となっています。
輸送中の不慮の事故でも、老舗オーディオ店が責任を持って
対応させせていただきますのでご安心下さい。
ビンテージ品になりますので、基本動作不具合以外はノークレームでお願いいたします。
詳細、ご質問などございましたらヤフー質問、
またはshop@lajazz.jpまでお問い合わせ下さい。
■航空便■
アメリカ(ロサンゼルス)から提携運送業者より発送致します。
(提携:米国ヤマト運輸(Yamato Transport)/日本通運(Nippon Express)/R&L Carriers)
全国一律航空便/約5日間の場合178,000円になります。
沖縄・離島のみ30%増しの料金になります。
その他5~8%の税金・税関通過費用がかかります。予めご了承下さい。
■「大型発送規約」■
発送は基本「ドア・ツー・ドア(車上渡し)」
(弊社から落札者様のご自宅前まで)となっております。
配達員1名です。原則落札者様ご本人による運び込み(無料)となります。
「2階以上の家屋への運び込み」または
「超重量級貨物の家屋内運び込み」(パラゴンなど)の場合には
便利屋などの発注(通常5,000円程度)、
または運送作業員の発注(別料金:1人あたり約15,000円)の
いずれかを落札者様側で取り決めて頂く形となっております。
事前要望なしでの家屋内運び込み要請に関しましては弊社、
および運送会社は責任を負いかねますことご了承ください。
該当する大型商品の場合はいずれかを必ず取り決めて頂き、
上記の「大型発送規約」に同意して頂くことを義務づけております。
荷物発送後はインターネット上でトラッキングナンバーにより
24時間いつでも荷物の所在を追跡することができます。
万が一の輸送中の荷物の落下に備え、衝撃緩和処理の上、特殊梱包を施し発送致します。
特にスピーカーキャビネットコーナーは破損防止の為コーナーガードをかませます。
当店は長年ビンテージオーディオ機器を扱わせていただいている会社です。
2015