欧米ではウェスタン・エレクトリックに次ぐ老舗・優秀メーカー。
本品はSTROMBERG-CARLSON社製Coaxial(同軸)ユニット RF-475 と
KARLSON社製の代表作 X-15 キャビネットのペアです。
[RF-475 ユニット 概要]
1950年前後から始まったオーディオ黄金期に確固たる地位を確立したSTROMBERG-CARLSON社。
日本ではあまり知られてはいませんが、欧米ではウェスタン・エレクトリック(以後WE)に次ぐ
老舗・優秀メイカーとして活躍していました。
JBLやアルテックよりも上位に位置づけされることも少なくありません。
現代においても耳の肥えた「JBL・アルテック卒業生」のオーディオ・マニアたちが
行きつく「最後の楽園」としてWEと並び根強く寵愛され続けています。
[X-15 キャビネット 概要]
本エンクロージャーは1950年代にThe Karlson社から発売された
「High Fidelity」キャビネットのフラグシップモデル X-15です。
同社もSTROMBERG-CARLSON社同様、知る人ぞ知るオーディオメーカーの一つで、
このX-15キャビは同社の最高傑作と名高いキャビネットとなりました。
当時の年間ベスト・キャビネット・アワードや、家具部門のランキングでも
上位に入るほど優秀なキャビネットです。
そのユニークな造りは外観だけにはとどまらず、ユニット・バッフルの設置角度や
「バックスロートホーン改良版」のような内部構造も特殊です。
そのユニークさとは対照的なのが音像。フラットな特性を目指すが故の特殊設計となっているようで、
歪は最小限に抑えられ、かつ音圧を最大限に引き出すものとなっています。
特殊な開口板からユニットの直接音、さらには裏面への反射音、
そしてバックホーンから放出される低音とが非常に良いバランスで出音され、
見事なフラットな特性を造り上げていると感じました。
この時代でジャンルを問わずにフラットな特性で聞ける箱はなかなかありません。
[RF-475 ユニット]
まず注目すべき点を挙げるとその豪快なマグネットの外観と
朱色が美しく光るコーン紙ではないでしょうか。
オーディオ史上最大級のアルニコVマグネット(1本なんと20kg!)を使用しており
その能率の良さには目を見張るものがあります。
40Wを誇り、圧巻の音圧。その安定した出力は音圧・音像共に
最高のものを造り上げています。
スピーカー界のロールス・ロイスとも呼ばれるほどで、
多くの有名ホール、教会、講堂などでその威力を余すことなく発していました。
ツィーターホーン部には共鳴を最小限に抑える特殊プラスティックが積層される設計となっており、
高音域のブリリアントさを損なうことなく、90度°の音像放射を可能にしています。
さらに中高域から高域にかけてのドライブを促進させる「ラッパ構造」がスロート内部に施されており、
ウーファー部の音圧に引けを取らない音圧を実現。
さらに驚きは本スピーカーはクロスオーバーを使用せず、コンデンサーのみでの低・高制御をおこなう設計。
これは先に挙げた特大マグネット、ホーン構造設計により100dB以上の音圧を
実現したユニットが可能とした方式です(断面図画像を参照)。